裁判員裁判⑮判決

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評議での結果がでてから判決の言い渡しまでは、当然ですが守秘義務期間になります。判決の申し渡し当日の集合では、判決文の読み合わせがあり、裁判長が被告人に判決文に付け加えて言うべきことの相談もあります。
実際の判決申し渡しでは、私の席は従来の補充裁判員の席(後方)から、裁判官の隣になります。被告席や傍聴人席が前面から見渡せるので、これまでとは異なる雰囲気を感じます。
判決文が粛々と読み上げられ、裁判長から更生に期待する旨が告げられます。
これで一連の裁判員裁判が終了しました。

裁判員裁判⑭評議

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正式に裁判員として評議に加わることになり、席をこれまでの後方の見学席から裁判官を取り囲む円卓に移動します。裁判官が評議のルールを説明し、過去の事例データなどから、おおよその判決のイメージを説明します。評決は基本的に多数決ですが、裁判官の票が入ることが条件なので、裁判員のみで先例から乖離した判決になることはなさそうです。
本件は事実関係にほどんと争いがなく、執行猶予の可否判断が主要な論点になります。そもそも強盗傷害事件であることは事実なので、執行猶予がつくギリギリの事例との認識です。評議による投票の結果、懲役3年執行猶予5年保護観察付とすることが決まりました。

裁判員裁判⑬評議の日

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法定での審理は終わり評議の日ですが、前日までの台風で交通が大混乱でほとんどの公共交通手段が止まってます。裁判所に電話すると、無理のない方法で出てきてほしいとのことです。何とか動いている路線を乗りつないで到着したのはお昼前でした。当日は裁判官と裁判員でランチの予定だったのですが、お流れになりました。
午後になって評議を始めることになったのですが、裁判員1名がどうしても来れそうにないとのことで、急遽補充裁判員1番の私が裁判員に繰り上がることになりました。評決に参加することになるので、微妙な心境です。

裁判員裁判⑫論告求刑

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犯行の事実関係にあまり争点がなく、証拠調べや証人尋問もたんたんと2日目には終わって、3日目の論告求刑に移ります。検察は美人局という発覚しにくい悪質な犯行で被害者に怪我をさせた罪は重く、懲役5年の求刑です。弁護側は被告人が初犯で主犯格とは言えず、父親が今後の監督指導に責任を持つので、実刑ではなく執行猶予を求めます。
裁判長が同じ世代の父親として、被告人とその父親に厳しい質問をしていたことと、被告人が犯行の動機として、「断るのが面倒だった」と言っていたことが印象に残りました。

裁判員裁判⑪証人

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この事件では、主犯格が証人として証言します。主犯格にとっては不利な内容ですが、被告人が従属的な役割であったことがうかがえます。被告人の父親も証人として証言します。あまり裕福とは言えない家庭環境の中で、被害者に相応の金銭を支払って示談していること、被告人を今後しっかり管理監督することが述べられます。
また、被害者も出廷して証言します。一応示談が成立しているので、被告人が正当な裁きを受ければ許してもよいという趣旨の内容です。検察官が女性なので、被害者に対しても「愚かな行為をした」と反省させるような質疑応答がありました。

裁判員裁判⑩裁判の流れ

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裁判員裁判でも裁判の流れは同じで、冒頭陳述、証拠調べ、論告求刑、弁論、評議、判決というように進みます。公判日程は4日間ですが、判決の前に1日裁判員の評議の日程が入ります。
事件自体は被告人が犯行を認めており、有罪無罪の争いはなく、情状酌量をどうみるかに主な論点があります。事実認定で若干相違点があり、もみ合っている最中に被害者の服を脱がしたのか、勝手に脱げたのかという、全体の中ではあまり重要とは思えない点ですが、裁判の時間配分ではこの点の議論に相当の時間を費やしました。肝心の情状についての議論がかすんでしまった印象は否めません。
プロ裁判官の方の説明では、法形式としては強盗傷害事件なので、執行猶予がつくかはギリギリのケースだそうです。

裁判員裁判⑨事件の概要

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担当する事件の概要ですが、グループによる強盗傷害事件で、被告人は主犯格とは言えない20代前半の男性です。高校時代の友人などが集まって、女子高生を装って出会い系サイトで中年男性の被害者を夜の公園のトイレに誘き出し、仲間の未成年女子がいっしょにトイレの個室に入って被害者が下半身裸になったところで、被告人と主犯格男性が登場し、口止め料として金を要求します。いわゆるハニートラップとか美人局(つつもたせ)という犯罪ですが、本件では被害者が抵抗したため、主犯格男性ともみ合いになり、結果的に被告人も加担して被害者に怪我をさせたうえ、見張り役だった被告人が被害者から財布を奪って逃走しました。
尚、被告人はこの事件の前に、別のグループで工事現場から夜間に工具類を盗んだ事件でも、見張りと換金の役割で加担しており、2つを合わせた事件としての裁判です。

裁判員裁判⑧抽選までの感想

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裁判員名簿に登録された通知が来ても、実際に選ばれる確率はかなり低いように考えていました。冤罪の可能性や、死刑判決を伴う事例もあるので、あまりうれしくないというのが実感でした。実際の抽選でも、当日の会場に集まった人数から5分の1程度の確率だから当たらないだろうと考えていましたが、自分の番号を見て驚きます。
でも補充裁判員なので、判決に自分の判断が影響することもなく経験ができるのだろうと、自分なりに納得していました。(結果的に公判過程で補充から裁判員に繰り上がりましたが。)家族は何かすごいことに選ばれたように思ってか喜んでいるので、無作為の抽選とはいえ、何となく名誉なことに感じるところもありました。

裁判員裁判⑦公判前

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裁判員に選ばれた人は、お互いに身元を明かさないような対応になります。「裁判員1番さん」というように呼ばれます。私は「補充1番さん」です。
担当する刑事事件の概要と裁判日程が説明されて、公判を含めて5日間のスケジュールが示されます。質疑の中で私は服装について質問しましたが、暑い季節なので軽装でいいとのことで、ドレスコードは全くありません。現に20代らしき男性の裁判員の方は、最初の公判当日はTシャツに短パン、サンダルという服装でした。
裁判員としての宣誓と、その他事務的なことを終えて、次回の集合時間を決めてから、その日は解散です。

裁判員裁判⑥集合

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裁判員および補充裁判員に選ばれた8人は、裁判長・裁判官3名といっしょに別室に集合します。そこで担当する事件の概要と、利害関係の有無の最終確認がなされます。この事件では未成年の被告人関係者がいますので、その氏名での確認がなされます。その後は、公判日程や事務的な説明と、裁判が行われる部屋の確認、簡単な質疑が行われます。
裁判員に選ばれた6人は、男女半々で年齢層も20代から60代というところで、うまく分かれています。補充裁判員2名は私と同世代の男性2名です。裁判長と裁判官1名は同世代の男性で、もう1名の裁判官は若手という感じです。一般に思われているような堅苦しい印象は全くなく、ごく普通のサラリーマンに近い感じです。我々が緊張しないように配慮しているのかもしれません。